PWMディマー回路の製作
(埼玉県/加藤)

<概要>
フォグランプ等の10Aクラスの電流を制御できるディマー回路を製作しました。
  写真−1 外観写真
バルブに流す電流をパワーMOS FETでスイッチングし、ONとOFFの時間の割合を変えて調光するPWM方式のディマーです。
スイッチング制御なので発熱が少なく小型、低コストです。

<用途>
フォグライト、ヘッドライト等の大電力バルブの調光。
ヒータ等発熱体の温度制御。直流モーターの制御。

<定格>
最大電流はTr1のパワーMOS FETの特性に依存します。
2SJ471使用の場合は 絶対最大定格(絶対に越えてはならない値)で30A(連続)です。フォグ等55Wx2程度(10A)の制御なら余裕あります。
本機は12V専用です。24Vで使用すると壊れます。

<使い方>
本体からはVin、Vout、Cont1、Cont2、GNDの計5本の配線が出ています。
Vinはヒューズを介してバッテリ+端子につなぎ、Voutはフォグなどのバルブ+側につなぎます。(バルブ?側はシャーシ接地)GNDはシャーシの金属部分に接地します。
Cont1、Cont2に何もつながない、あるいは接地した場合はバルブは点灯しません。この時の消費電流は殆ど0です。
Cont1にACCなどからの12Vがかかると、本体内部のSWで予め設定してあった明るさでバルブが点灯します。
写真−2はフォグを15%のパワーで点灯している様子です。

 写真−2 フォグ15%
Cont2に12VがかかるとCont1の状態とは関係無くフルパワー点灯します。
 写真−3 フォグ100%
Cont1、Cont2ともにわずかしか電流を流さないので、負荷を気にせず車内の配線のどこからでも配線を引き出す事ができます。

<回路の説明>
回路図を図−1に示します。

 
                                  図−1 回路図
誰が作っても簡単で確実に動作するという事で、デジタル回路だけで出来るだけ簡単な構成にしました。
クロック発生回路はIC1個です。このICは100KHz水晶発振子を内蔵していて、100KHz以下の様々な周波数をCTL1〜6の設定だけで変える事ができます。
本機では基板に半田ショートランドを設けて周波数設定を変更可能にしています。(詳細は部品表のデータシート入手方法を参照)
CTL5ショートでクロックは1KHz、この時PWM搬送波は1/10の100Hzになります。
PWM制御は正確なクロックは必要ないので水晶式クロックは勿体無いですが、簡単と安定動作優先でこれを使ってみました。
IC2はカウンタを使ったタイミング発生回路です。10クロックで1回のLOAD信号を出力します。
IC3はシフトレジスタを使ってPWMのONとOFFの時間の比率(デューティ比)を作ります。
デューティ設定SW1〜8で全てONの場合は0%出力、全部OFFで85%出力になります。
IC3の10番ピンに9番目のSWをつなげば0〜100%設定できます。
写真−4はデューティ比10%のVout波形です。
 

                 写真−4 波形10%(横軸2ms/div)
IC3はLOAD信号が入ると設定値を読み込みます。
これらの様子を、図−2に示します。(1と9のみ15%、他は10%刻みで設定)
IC3で作られた短形波を使って大電流ON/OFFを行なうのがスイッチング部(赤枠)です。
Tr1はパワーMOS FETで、2SJ471を使った場合ON時の抵抗が25mΩと超低抵抗です。
10A電流が流れたとしてTr1の発熱P=i・i・r=2.5W程度しかありません。10A流す程度なら簡単な放熱さえすればリレー代わりにも使えます。

                             図−2 タイミングチャート


<製作の注意点>
写真−5に基板上の実体配線を示します。

 写真−5 基板図
写真では自作エッチング基板を作りましたが、市販の穴あきユニバーサル基板で十分です。
注意点は回路図のVin〜Vout間の太線部分は10A以上の大電流が流れますから、それなりに太い配線が必要です。
Tr1は少し発熱するのでアルミケースにネジ止めして下さい。
 写真−6 内部写真
写真−6のTr1は手持ちでたまたまあった2SJ304を使いましたが、このTrは最大電流が14A(連続)で余裕がないのでお勧めできません。また、これはON抵抗が80mΩあるので発熱量も8Wあり、念のため放熱器も付けています。2SJ471を10A程度で使えば写真のような放熱器は不要でアルミケースだけで十分です。

<部品の入手>
表−1に必要な部品の値段と特殊なものについては入手方法を示しています。
問題になるのはIC1とTr1ですが、どちらも秋葉原の秋月電子通商で購入&通販可能です。
Tr2、Tr3は2SC、2SDの汎用スイッチングTrなら何でも使えます。
IC2、IC3はLSを使います。HCを使うとこのままの回路では誤動作します。

<応用&改良>
本機を車室内に置いて手元でデューティ設定を変更したい場合、回路図の赤枠で囲まれたスイッチング部を大電流経路近く(室内まで引き込むのは不可)に置き、それ以外の回路を室内に置く事ができます。
この場合、シャーシ接地以外ではIC3の「OUT」ライン1本でつながっていますが、このように離して使う場合はノイズ侵入対策でR1のTr2側とGND間にコンデンサを入れます。
コンデンサの値はR1の値やクロック周波数に依存します。(目安はC6よりずっと小さい値)これを怠ると違法CB搭載トラックとすれ違うたびに強電界によるTr2の誤動作でライトが勝手にパッシングするかも知れません。

モーター等の制御も可能ですが、モータ等コイルを使ったものは誘導負荷によるサージ(高電圧)対策が必要です。
今回製作したディマーには一応サージ対策(D1&D2)がありますが確認はしていません。

ラジオや無線機等にスイッチングノイズが発生した場合、クロック周波数を変える事で対策します。
一般的には低い周波数の方がノイズは発生し難いですが、どうやっても発生する場合は、逆に周波数が高い方がフィルター等で積極的にノイズ除去がしやすい場合があります。周波数を下げすぎるとバルブがチラつくので注意。

アナログ回路でデューティ発生回路を作るとボリュームで連続的にデューティ比を可変できます。
しかしアナログは部品選定やレイアウト、調整などにノウハウがあり、誰でも簡単確実はちょっと無理になってきますが興味ある方はトライする価値はあります。
構成としては・・・クロック発生→積分回路→コンパレータ→スイッチング   あたりが最も簡単だと思います。
 
 

表−1 部品表
部品番号   型名  価格 入手方法
Tr1  2SJ471  ※1     200  秋月電子通商(秋葉原)通販可
Tr2  2SC1815       20 汎用スイッチング2SC、2SDなら可
Tr3 2SC1815        20 汎用スイッチング2SC、2SDなら可
IC1  SPG8651B  ※2   1000  秋月電子通商(秋葉原)通販可
IC2  74LS190     100  入手容易
IC3  74LS165     100  入手容易
IC4  78L05       50  入手容易
D1  10E1       10  整流用ダイオードなら可
D2  10E1       10  整流用ダイオードなら可
C1   0.01〜O.1uF       10  入手容易
C2  0.01〜O.1uF       10  入手容易
C3  0.01〜O.1uF        10 入手容易
C4   10uF(電解コン)       30  入手容易
C5  0.1uF        10 入手容易
C6   1uF       30  入手容易
R1   33KΩ       10 入手容易
R2   10KΩ       10 入手容易
R3  100KΩ        10 入手容易
S1〜S1  8PディップSW     250 入手容易
ユニバーサル基板        150 入手容易
アルミケース(タカチ製)        500 東急ハンズ
  合計  2540  

データシートの入手方法
 ※1 http://www.hitachi.co.jp/Sicd/Japanese/Products/hangi/pdf/d/html/d065_f.html
 ※2 http://www.epson.co.jp/epson/japanese/seihin/device/pdf/qd/spg.pdf

秋月電子通商URL http://www1.tomakomai.or.jp/akizuki/